イノベーションの最終章は、『イノベーションのジレンマ』と『イノベーションへの解』に続く形で完結しました。この本は、『イノベーションのジレンマ』によって「イノベーション」という概念を世に知らしめ、『イノベーションへの解』によってイノベーション・マネジメントの新たな基準を提示しました。
この最終章では、これまで展開されてきた理論をさまざまな業界に応用し、イノベーションがもたらす破壊を予見するための手法を画期的に示しています。さらに、業界全体の動向を判断するための理論的な枠組みを提供し、ビジネスチャンスの見つけ方や競争相手の実力評価、戦略的な判断、非マーケット要因の分析方法などを詳細に解説しています。
また、この本では、業界全体の未来を見通すためのレンズを提供しています。これにより、読者は現在の状況だけでなく、将来のトレンドや変化を把握し、戦略的な意思決定を行うことが可能になります。
『イノベーションのジレンマ 増補改訂版』の日本版は、2021年10月にカバーを新装しましたが、内容に変更はありません。この本は、20周年を迎える記念の刊行となります。
レビュー
・イノベーションのジレンマやイノベーションへの解は素晴らしい本だが、構成がバラバラで理解が進まなかった。しかし、この最終解では体系化されており、改善されたと感じる。訳語のズレややっつけ感はあるものの、示唆に富んでいる。3部作を1冊にまとめれば完璧だと思う。
・シリーズ完結版であり、勉強になった。再読する予定。
・動機づけと能力のマトリックス図が特に注目すべき。破壊的イノベーションに陥っている企業は多く、動機づけの欠如や必要な資源の不足が原因かもしれない。価値基準や非マーケット要因の分析も重要であり、他の業界への応用力を養うことが重要。
・イノベーション理論を「戦略のレンズ」として活用し、将来を予測する方法を学ぶ。満足度の低い顧客や無消費者をターゲットにすることが重要であり、競合企業の評価や業界の分析も必要だ。日本企業は規制が多くイノベーションを阻害しているが、理論を活用することで対策が可能だ。
・資源・プロセス・価値基準の組み合わせが組織の強み・弱みを決定する。満足度の低い顧客を獲得する持続的イノベーションや、競争相手の攻略を目指す破壊的イノベーションなど、企業の市場参入戦略が重要だ。また、日本企業は成長によるイノベーションのジレンマに陥る可能性がある。
・内容は過去の著作と重複しており、既に読んでいる人には必要ない。