エブリシング・バブルの崩壊

エブリシング・バブルの崩壊


エブリシング・バブルの崩壊

コロナ禍が始まってから3年間、世界的に前例のない金融緩和が行われてきました。しかし、インフレ懸念や利上げの必要性が叫ばれ続けてきました。そして、ついに2022年になり、米国の連邦準備理事会(FRB)の方針が大転換することになりました。3月から利上げが始まり、世界経済のフェーズが変わると言われています。

2022年1月には、米国のインフレ率が前年比8.6%に達し、食料や生活用品が値上げされているばかりか、賃金も上昇しているとの報告がありました。一方で日本では、思うように賃金が上がらず、物価の上昇だけが先行する不況下のインフレ、すなわちスタグフレーションが懸念されています。また、米国が撤兵したアフガニスタンの混乱や、ウクライナへのロシア侵攻の懸念など、地政学リスクが増大することによって、原油や天然ガス、小麦などのコモディティ価格が上昇し、ますます世界のインフレに拍車をかける状況となっています。

一方、世界経済の牽引車だった中国は、恒大集団の実質的な破綻など不動産バブルの崩壊がささやかれ、景気の後退が懸念されています。こうした様々な世界経済のほころびが明らかになった2022年、上昇しすぎた世界の株式市場や不動産市場はどうなるのでしょうか?

現在(2022年春)では、あらゆる価格がバブルと思われるほど上昇しています。リーマンショック以上の世界経済の崩壊が近づいているとの懸念があります。さらに、サイバーセキュリティへの懸念や暗号通貨の広がりなど、グローバル化、デジタル化した世界経済ならではの、新しい問題も警鐘を鳴らしています。

しかし、こうした不安な状況の中でも、著者は日本に世界の資金が集まるチャンスがあるとも言っています。投資をする人もそうでない人も、世界経済の大転換期に入った今、是非読んでおきたい一冊です。

本書では、第1章から第8章まで、世界経済の様々な側面について深く分析しています。第1章では、エブリシング・バブルはFRB緩和バブルというテーマで、FRBの緩和政策が世界中のバブルを引き起こしているという立場から、その原因と影響を説明しています。

第2章では、キャリーバブルとキャリークラッシュというテーマで、資本の国際移動によって発生するバブルとその崩壊について詳しく説明しています。第3章では、難儀きわまるインフレがやってきた!というテーマで、現在の世界のインフレ状況について分析しています。

第4章では、日本経済の今後を考えるというテーマで、日本が抱える経済問題や、世界経済の変化に対してどのように対応すべきかについて説明しています。第5章では、中国で全開する習近平ワールドというテーマで、中国が世界経済に与える影響や、その今後について詳しく解説しています。

第6章では、ウクライナ、アフガニスタンなどの地政学リスクの変化というテーマで、世界の地政学リスクについて分析しています。第7章では、世界標準に比して無防備に近い日本のサイバーセキュリティというテーマで、日本のサイバーセキュリティについて警鐘を鳴らしています。

最後の第8章では、暗号通貨の正体というテーマで、暗号通貨が世界経済に与える影響や、その今後について詳しく解説しています。

世界経済の大転換期を迎えた今、この本を読むことで、世界経済の動向を理解し、自身の投資や経済活動の方向性を考えるきっかけになるかもしれません。

レビュー

「証券会社に勤めた経験を生かした公正な内容で、昨今の経済状況を分かりやすく解説した良書。ただ、予測は外れることもあるため、この著書を読むと誰にもわからないことが理解できる。」

「幅広い視点からの高い分析力で、地政学や政治、金融について詳しく解説している。ただ、図解やグラフ、写真がもう少し多ければ、より分かりやすくなるだろう。」

「エミンさんはこの本を書く前からアメリカのテック株バブルは弾ける宿命にあると指摘していたが、その通りになってきている。この未来予測に至った知見や歴史や市場動向の読み方がまとめられている。ただし、この本を読んでもエミンさんと同じセンスが身につくわけではない。」

「今後の投資戦略を考える上で多くの学びをもらえる本。」

「前半はアメリカのバブル崩壊から世界経済の展望に沿っていたが、後半は散漫な印象がある。それでも個々の内容はよく、地政学リスクや時事ネタについても触れている。」

「世界情勢、政治、経済、歴史などをわかりやすい言葉で記述してくれているため、無学な自分でもスラスラ読むことができた。」

「なぜウクライナ問題が起きているのかや、中国がIT企業を規制している理由などを根拠をあげて説明している、めちゃくちゃためになる本。」

エブリシング・バブルの崩壊
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