永遠の旅行者〈下〉


永遠の旅行者〈下〉

まゆは幼い頃の未解決事件にまだ苦しんでいた。アメリカで失踪した悠介の居場所はつかめない。麻生の死期は迫る。真鍋には時間がなかった。そもそも麻生はなぜ無税の相続に拘るのか?そして、まゆが何者かに誘拐された―。人間の欲望と絶望、金と愛情、人生の意味までを、大胆かつ繊細に描ききった新世代の『罪と罰』完結。

レビュー

・ 「マネーロンダリング」は面白かったが、「永遠の旅行者」は重厚なミステリー・サスペンス小説で、国際的租税回避、戦後のシベリア抑留、統合失調症、富と貧困からロマンスまで盛り沢山。舞台はハワイ・NY・伊豆・熱海。緻密に繋がっているストーリーに引き込まれた。

・ 「20億円の遺産を無税で孫に受けさせるスキーム」について書かれた小説で、精密な計画が描かれている。恭一が、150億円の債権をBVIのタックスヘイブンであるケーエイチコーポレーションから1000万円で買い取り、その後孫に20億円を譲渡する方法を練り上げる。その計画の詳細は読む価値あり。

・ 「永遠の旅行者」は、どの国の居住者にもならず、合法的に一切の税金を納めない主人公が登場する。国際的租税回避、戦後のシベリア抑留、統合失調症、富と貧困からロマンスまで盛り沢山。しかし緻密に繋がっている重厚なミステリー・サスペンス小説で、ハワイ・NY・伊豆・熱海が舞台。

・ 「永遠の旅行者」は、精神病に関する深い記述が多く、ウエイトが精神病だ。しかし、ソビエトの帰国者の話は、半分以上本当の事が含まれており、遠い話で帰国者達に聞いたことがある。団塊の世代の20以上離れた爺さまたちは壮絶な生き方をしている。生に、性に、執着する理由もわかる。

・ 「マネーロンダリング」「タックスヘイブン」「ダブルマリッジ」に続く4作目で、主人公がスーパーマンの節税ハードボイルド。ダブルマリッジは違うが、同じような主人公、ヒロイン、助演女優、悪役、脇役、ラストが登場し、面白さは間違いない。しかし、もう少し想像つかないような展開が欲しかったと感じる読者もいるかもしれない。それでも著者の小説には期待が持てる。

・ 「永遠の旅行者」は住所がない分世界を飛び回り、自由な生き方が描かれ、引き込まれる。主人公が節税を駆使している点も興味深い。

・ 「マネーロンダリング」は、有名な橘玲氏の経済小説で、刻々と変わる描写の変化が読み手を飽きさせず、一気に読み進めることができる。タックスヘイブンや金融に興味のある方は、是非読んでみる価値がある。


永遠の旅行者〈下〉