上級国民/下級国民


上級国民/下級国民

多くの人々が感じている本音は、一度「下級国民」として位置づけられてしまうと、そのまま老いていくしかないというものです。日本社会においても、バブル崩壊後の労働市場によって生まれた「下級国民」たちは、共同体からも性愛からも排除される運命にあるとされています。それを独占するのは、少数の「上級国民」たちだけです。

このような「上級/下級」の分断は、日本に限らず、欧米社会でも顕著です。アメリカのトランプ大統領選出、イギリスのブレグジット(EU離脱)、フランスの黄色ベスト(ジレジョーヌ)デモなど、これらの出来事は全て、「下級国民」による「上級国民」への抗議行動として表れています。

世界的な潮流である「知識社会化・リベラル化・グローバル化」によって、世界全体が豊かになる一方で、先進国では「上級国民/下級国民」へと分断されていく傾向があります。この状況に対して、多くの人々が憤りを感じていることは明らかです。

このような現状をあぶり出し、分断の正体について考えるためにも、ベストセラー『言ってはいけない』シリーズの人気作家・橘玲氏の著作が注目されています。

レビュー

・「今どういう時代なのか」という問いに、橘玲氏の著作は新しい視点を提供していると感じられました。しかし、生産性やアベノミクスなど、いくつかのテーマについては、もう少し詳しく掘り下げて欲しかったという気持ちもありました。また、「トップはインドの評価点25%で」というデータについては、単位が何なのか疑問に感じました。さらに、リバタリアンとリベラルの対立や、昔から子育てが個人の責任になっていたのかどうか、少人数のデータの説得力など、興味深いポイントがありました。

・この著作にはいくつかの疑問を感じるものの、筆者の主張は概ね理解できました。今の時代は知識差別時代であり、自分自身や家族を守ることは自己責任であると感じる時代です。

・我々は、イノベーションを起こした側と使う側の間に生じた明確な格差の時代を生きています。この格差は今後も拡大すると予想されますが、時代の変化に対応する覚悟が必要であると感じました。

・橘玲氏は、社会構造を切り拓く視点で、膨大な先行研究を武器にしていると感じました。自己責任が強調される現代社会で、知識の有無が上級下級を決める重要な要素であることに納得しました。

・この著作は読みやすい内容で、リアリスティックな視点で上級下級の分断を解説しています。一方で、下級老人が増える将来社会や、より詳細な社会予想が欲しいという気持ちもありました。

・「上級国民/下級国民」という分断をテーマにしたこの著作は、値段の割に装丁も文句なしで、気になる点もあるものの、興味深く読み進めることができました。


上級国民/下級国民